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3日目
少し早めの4時に起床した。

外はまだ暗い。
俺はすぐ熱いシャワーを浴びて目を覚まし、出発の準備を始めた。

4時50分ぐらいに1階のロビー前に行くと、 電気が消灯してあり玄関は鍵がかかっていた。
自分で電気をつけ、待っているとRJが起床。
眠そうな顔で「ナマステー」と挨拶をしてきた。

5時15分ぐらい、RJは準備を終えてドライバーも来た。
そして、そのドライバーの車で出発となった。

あちこち焚火があって、ネパールの人が固まっていた。
日本人にとって暑くても現地の人は寒いという話をよく聞く。

あそこも焚火だ。ここにも焚火だ!という風にハオは無邪気に楽しみながら眺めていた。
あっ、あそこも焚火♪
と目を配ると…
中型バイクが燃えていた。
「へぇ、こういうやり方で焚火もあるんだぁ」とカルチャーショックを受けたが、RJとドライバーはその燃えたバイクを見て笑っていた。
まさか・・・
よく見ると、ネパール人はそのバイクを必死で消そうとしていたことが分かったし、どうやら事故だったらしい。
バイクが燃えるというのはテレビでよく見かけたが、肉眼で見るのは初めてである。
しかし、すごく燃えていたなあ…

タメル市を出るとl、次第に田舎の風景に変わってきて車のスピードも増してきた。
本当に早かった。
高速道路で走っている並み100キロは出ていたと思う。
スピードが速いのは海外では日常なので慣れているが、この運転は無茶である。
なんと追い越しを幾度か繰り返すのである。
まるでパトカーから逃げるという感じで他の車をどんどん抜いていくのだ。
あまりにも早いので、道端にいる牛や犬や鳥も道路から逃げていた。

そのとき、次の瞬間。
ハオは生まれて初めての体験をした。

ゴンッ

と鈍い音と共に逃げ遅れた犬と衝突。
しかもブレーキをかけない状態で。

慌てた俺は後ろを見た。
犬は幸い生きていたが、足を怪我か骨折していてヒョコヒョコと道端に逃げていった。
RJも運転手も心配して犬を見ていた。
「ノー!アタック ドッグ!!」と思わず叫んだ俺だが、笑っていた運転手とRJ。
なんと『よくあることだ』というような余裕の顔だった。


タメル市から1時間ぐらいでナガルコットに到着した。
暴走運転のおかげで早かったかもしれない。

ナガルコットの展望台は標高2175mもあるので、少し寒かった。
RJと一緒に見晴らしの良い展望台に連れてくれた。


太陽も丁度昇りかけたときだった。

その風景は…

雲だらけ。

ヒマラヤが見えねぇーじゃん!(怒)
なんだよ、昨日「大丈夫。大丈夫。見エルヨ」と言っていたのは・・・(汗)

「ウェアー エベレスト?」と聞いてみると、RJは指を指して教えてくれた。
しかし、その方向は無数の雲によって隠されていた。
運が悪かった。

でも、雲だらけであってもその景色は絶景であった。
まさにもののけ姫で最初のオープニングと同じシーンであった。

エベレストが見えなかったのはすごく残念だが、 俺はその絶景にしばらく目を離さなかった。
見えないが、すくなくとも俺はエベレストの近くにいる。
そして、エベレスト方面から風が吹いてくる。
世界一の山からの贈り物という感じだったし、 そう考えると気分が壮大になった感じだった。
しばらくエベレストからの贈り物を肺の中におもっきり留めておいた。



1時間ぐらいしただろうか?

RJが「行ク?トテモ 寒イ」と鳥肌だらけの腕を見せた。
そうだな・・・と思って、「行こうか」と車のところに戻った。

行きはのんびりだった。
俺とRJは車の中で眠り込んでしまった。
渋滞にあって、2時間位ムスタンゲストハウスに到着することに。

俺は「えっ?」と驚いてしまった。
もうおしまいなのだ。
車往復だけで、5000円近くもしたのだ。
あまりにも高すぎて、損した気持ちがしてしょうがなかった。


朝飯は地球の歩き方に載っているムスタンゲストハウスの近くにある「パンパニケル・ベーカリー」と決定していた。

そこはタメル市では結構有名らしい。
朝行けば、焼きたてのパンを食えるのだ。

人はあまり混んでいなかった。
席にトークしているネパール人、本を読んでいる白人女性がいるぐらいだ。

ここはメニューとかなく、カウンターのところで注文しないといけない。
俺はパン2つとチャイを注文した。(確か110Rsぐらい)

すると店員が『これ見せて』と地球の歩き方に紹介されている自分の店に興味を持ったらしい。
見せてあげると「オー!!」とうれしそうな顔になっていた。
そして「サンドイッチ グッド!」と教えてくれた。
もうパンを頼んでしまったので、「トゥモロー。」と約束した。

10分ぐらいして、トレイの中にパン2個とチャイを並べたのを渡された。

すごく驚いた。
パン2個と言っても、1個が2人前というぐらいボリュームがでかいのだ。
食ってみると、焼きたてであって味はすごくおいしい。
しかし、一人では食いきれない。
4人前もあるので、結局残してしまったがのんびりとした朝飯を迎えて大満足なハオであった。



今日はどこに行こうか…と考えているときに「スワヤンブナート」 に行こうという目的になっていた。

そして、タメル市からスワヤンブナートまで歩いてみることにした。
複雑な道で大変だったが、その気分は冒険家でありとても楽しかった。



1時間前後、スワヤンブナートに到着した。
周囲は露店が多く、そして乞食も猿も大勢いた。


80度近くの階段が365段もあり、仏塔に着くまでものすごい辛かった。
一歩一歩休憩しながらゆっくり歩かないと心臓が張り裂けそうだった。


仏塔に着く手前に係員のネパール人から声をかけられた。
どうやら『入場料を払え』と言っているらしい。
怪しいと思ったハオは地球の歩き方を見る。
たしかに入場料を払わないといけなかった。
しかも"外国人限定"として。
50Rsぐらい支払い、入場券を入手した。

四面に目が書かれた仏塔(ストゥーパ)の迫力に負けそうだった。
この目は、森羅万象を見通すと言われており、 大昔、湖だったこの地の一角を文殊菩薩が刀で断ち割って 湖の水を流出させた際、最初に現れた丘がスワヤンブナートで、その湖の後に出来たのがカトマンズ。という伝説もある。



そして、その近くに展望台で人々が集まっていた。
そこからカトマンドゥを一望でき、 その景色はとても素晴らしかった。
カトマンドゥの盆地具合がよく分かり、吹いてくる風がとても気持ち良い。


15Rsで購入したコーラで失った水分を補給し、 しばらくスワヤンブナートをブラブラと散歩した。

何人か黄色の衣を着ているお坊さんを見かけたので、航空機の中で出会った人がいるかどうか探してみたがそう簡単には見つかるわけない。

1時間ぐらいくつろぎ、スワヤンブナートをあとにした。


スワヤンブナートからタメル市に途中で雨が降ってきた。
傘を持っていなかったので、早足で戻ろうとするが 雨は次第に強くなってきた。

おまけに道に迷った。
何度か行き止まりに遭遇する。
なんとか勘にたよりながら、無事タメル市に到着。

しかし、雨はスコールになってきて走るたび、雨が体中機関銃のように刺されて痛いので途中で雨宿りすることにする。

そこはレストランだったので、俺は指を指して「オーケー?」と店員に尋ねた。
そうしたら、店員は店の中に指を指して『なんか食っていけ』と言っているようだったので、『ここでいいだろ。頼むよ』とお願いしたような顔で表すと、『好きにしな』と認めてくれた。

近くにあるモモを揚げたやつのにおいが流れてくる。
すごい雨だったので、道路が川のように水があふれてきた。

30分ぐらい雨は小降りになってきたので、すぐムスタンゲストハウスまで走りながら戻った。

ムスタンゲストハウスに到着したのは16時ぐらいだった。

全身濡れているので、とりあえず裸になり、布団の中で失われた体温を取り戻した。

問題は濡れた服だ。
予備を持っていかなかったので、 布団の中で少しでもいいから乾かすしかなかった。


時計は18時を指している。
お腹もすいてきた。
雨で濡れた服装はあまり乾いていなかったが、着ないよりマシだということで 半分濡れたTシャツを着て今夜の晩飯店を地球の歩き方で探した。

その前にネパールに行く前に友人から 「ネパールの日本料理はとてもおいしいんだよ。」ということを思い出して、 日本料理に行きたくなった。
と言ってもタメル市に日本料理店は沢山ある。
どれにするかかなり迷った。

複数の日本料理店の中から「味のシルクロード」に決定した。
バックパッカーがよく集まるお店だと言われている。

どんな日本人が来ているだろうかと期待しながらその店に向かう。
ムスタンゲストハウスから徒歩5分位の距離であったのに、なかなか見つからない。
どういうことなんだ…と、もっと深入り探しても見つからない。

最終的はネパール人に聞いてみた。
「ドゥ ユー ノウ アジノシルクロード?」と聞いてみると 「ココダヨ」と上の部分に指を指す。
その店の看板には「おふくろの味」と書かれてあった。
「ノーノー!アイ ウォント ゴー アジノシルクロード!!」と言うと、ネパール人は日本語で「変ワッタ。変ワッタ。」と言っていた。
アジアのほとんどのお決まりである別の店に連れて、その店から謝礼金をもらうためじゃないのか?と半分信用していなかったが、店の中に入って店員に聞くと「イエス。」と言っていた。

店の中の雰囲気は良かった。
だが、日本人らしきの人はいなかった。
これが残念だった。

店員は全員なぜか寿司職人の格好をしている(笑)
寿司職人が日本としてイメージが強いだろうか?

日本語で「イラッシャイマセー」と迎えてくれ、席までご案内してくれた。
サービスは日本風で良かった。
おしぼりと水が出て、(そこまでリアルにやるか!笑)メニューを渡された。

日本料理は高いだろうなと思っていたが、それほど高くはなかった。
例えばセットでも120Rsぐらいである。

うちはビールとカツ丼を頼んだ。

すぐビールが届いた。
一人でビールを飲むのは寂しいが、 今日一日の疲れを取るためには丁度良かった。

そして、カツ丼が届いた。
なんじゃそりゃ!肉が小せぇ。
カツ丼の他にご丁寧にみそ汁とか豆腐、漬物もセットだった。
全部ネパール風の手作りである。

食べてみると、どれも美味しかった!
日本には悪いが、日本で食べるよりもネパールで食べた方が美味しいし安いのでかなり気に入った。

店員はじっと俺の反応を伺っている。
俺は「ミトサ!(美味しい)」とネパール語で言うと、 店員は驚き「ネパール語 分カルノ?」と聞かれた。
「ノー、ナマステ(こんにちは)、 ダンニャパード(ありがとう)、 ミトサ(おいしい)、 プギョ(結構です)だけです。」 と言うと、店員は笑顔で親指をたてて「ベリーグッド!!」と誉めてくれた。


ビールで酔った俺はフラフラとした歩調で、ムスタンゲストハウスに戻る途中で「そうだ!インターネットカフェに行こう。」と思いついた。
ムスタンゲストハウスの近くにインターネットカフェがあったのでそこにする。
店員らしい人が迎えてくれて、「ハウマッチ?」と聞くと1時間40Rsだった。
早速パソコンで友人にメールする。

その時、店員が俺に話し掛けてくる。
人なっつこい人だったが、優しい人だった。
名前は"Panta"と言う。
俺のデジカメに興味をもち、あちこち撮ったり『自分を撮ってくれ』と頼まれたり、あとは俺の作ったホームページに興味を持って色々鑑賞したり、掲示板に書き込みをしたりしていた。



Pantaが突然『見て見て』とパソコンに指を指している。
見ると、Pantaの写真がいくつかアップされていた。
誰が撮ってPantaに送った写真だろう。
自らの写真を俺に自慢しているようだった。
それにしてもPantaのポーズは実に面白い。
ナルシストのようなポーズばっかしである(笑)

1時間だけのつもりが、結局2時間になり80Rsを支払い、インターネットカフェを出ようとした。
するとPantaは『今度いつ来る?』と聞くではないか。
「トゥモロー モーニング オワ ナイト。」と言うと、うれしそうな顔になり、「シーユー!」と別れた。

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