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8日目
朝、5時半起床。
シャワーを浴び、6時前にロビーに向かった。

一つだけ気になったのは、汗をたっぷり吸収したTシャツが全然乾かなく、おまけに異臭を放つ。
もはや着れない。
ビニール袋に入れて、きつく縛りつけた。

起きていたコーダマに1泊分を支払うと、sukuが出てきて準備完了である。
コーダマに握手をして、出発した。

それにしても本当に良い宿だった。
今まで旅をして、「一番良かった宿は?」と質問されば、「久美子ハウス」となるが、2番目は「View point hotel」と答えるだろう。

sukuも寂しい顔をしており、お互い沈黙だった。
「日本に帰国したら、絶対Eメール送るよ。」と言うとうれしそうな顔をするsuku。
途中で露店が開いていたから、その露店でタバコを2箱買い1箱はsukuにプレゼントした。
「アリガトウゴジャイマス」と喜んでいたsuku。

バス停まですぐ近くだった。
sukuが運転手になにかを話してくれ、聴覚障がい者であることも説明してくれた。
なにもかも最後までお世話になりっぱなしである。

最後の撮影として、近くにいた白人にお願いして撮影してもらった。


10分後、バスはすぐ出発となった。
遠くからsukuが最後まで手を振ってくれ、ハオも見えなくなるまで手を振り続けた。
とても寂しい瞬間だった。
しかし別れは必ず来るものだ。


途中で、スコールが降ってきた。
バスは何回か停止し、ネパール人を何人か乗せて出発となった。
来た道をそのまま通っている。

すると急にバスが停止した。
「???」と思ったハオだったが、なぜか全員降りる。
俺も降りようと思ったが、運転手は『そのままでいい』と手で合図する。
周囲を見ると、白人だけは座っていた。
すると、軍隊がバスに乗って中を調べた始めたのだ。
銃を肩に持っていたのであまりいい気持ちがしなかったし、 なにか変な動きをすれば発砲しそうな気がしたので石のように硬くなってしまったハオ。
軍隊が降りるとバスは動き出し、ちょっと先のところに再び停車した。
降りた人が再びバスの中に戻ったのだ。
どうやらネパール人限定で、怪しい物を持っていないかどうか調査されたということが分かったハオだった。
全員乗車した後、何事もなかったようにバスは先を進む。
そこまではいいんだが…
1時間半後、同じようにバスが停車しネパール人だけ降車し、軍隊が入りこみ調査してから再びネパール人は乗員し出発…
それを4回〜5回繰り返したのだ!!
何回調べりゃ気が済むんだ!!(怒)とイライラしていたハオでした。

時計の針が14時になったとき、カトマンドゥに無事到着した。
相変わらずカトマンドゥの方がやかましかった。
日本に例えると、カトマンドゥが東京でポカラが静岡って感じがした。
そして、途中途中ネパール人が降車していき、ハオは終点でバスを降りた。


タメル地区全体は道を覚えたので、地図を見なくてもムスタンゲストハウスにそのまま戻ることができた。
RJが出てきて、「ドウダッタ?」と第一声。
「楽しかったですよー!」と言うと、喜んでいたRJ。

View point hotelが同名があったということも伝えると、知っていたらしく笑っていた。
どうやらゴータマが連絡したらしい。

部屋を再び借りると、前と同じ部屋だった。
荷物を置き、ベッドで横になった。
トレッキングの筋肉痛が残っていて、少々辛かった。

これから大変である。
明日の朝、ネパールを出るので今日中友人のお土産を買わないといけない。
なにより予算が少なくなったので、慎重に選ばないと予算オーバーとなる。

最初は腹が減ったので、ランチだ。
ハオのお気に入りであるパンパニケル・ベーカリーに即行決定である。
あそこのサンドイッチは美味で何回行っても飽きないぐらいである。

外は少し雨が降っていた。

パンパニケル・ベーカリーで、フィッシュ・サンドイッチとチャイとヨーグルトを注文した。

しかし、フィッシュ・サンドイッチはちょっと期待はずれだった。
前回食べた、チーズとか豚肉が入っていたサンドイッチの方が今より100倍おいしかったのである。
少々後悔したハオだった。

隣のテーブルに白人とネパール人が座っていた。
ネパール人から声をかけられたが、最初は聞こえないフリをしていた。
すると、『ライターくれないか?』とワザとらしい動作をしていたので、仕方なくライターでタバコの火をつけると、そのネパール人は日本語で 「コンニチハ」と声をかけられていたことがわかった。
ハオは「こんにちは」と笑顔で交わすが、その後なにを言っているかは分からなかった。
とりあえず、一人で静かに食べたかったのだ。
次第に向こうもこっちの反応に飽きてきたらしく、白人と話を始める。


近くにDVD店を見つけた。
そのDVD店に顔を出すと、驚くべきものがたくさんあった。

日本では公開したばかりの映画、未公開の映画が沢山置かれていたのである。
「スパイダーマン2」とか「トロイ」とか「リディック」とか沢山あったのだ。
おまけに、ハオが驚いたのは日本ではまだ発売されていないDVDを5本ぐらいセットとして売られていることだった。
その価格はなんと400Rs!
安すぎる。
ハオは「トロイ」「リディック」「80デイズ」「ハリーポッター-アズカバンの囚人-」「デイ・アフター・トゥモロー」の5本が入っているDVDを購入した。
日本でためしオークションで売ってみようという気持ちになったからだ。
(だが、その後オークションで出品するが、海賊版として見られ削除させられた。結局友人にお土産としてあげることになった…)
他にも沢山あって欲しいところだが、日本語字幕がないので我慢することにした。

途中で、不運なことにスコールが降ってきて、のんびりまわることができなかったのだ。

まず、ネックレス屋に目を通すと中のおっさんが出てきて『見ていきな!』と手招きしている。
中に入って、「アイ ウォント チープ ネックレス。」と言うと、「オーケー。」とネックレスを出してくれた。
うちは彼女いるわけでもないし、買うのはおかしいが、日本で買うよりも安いので、一応未来の彼女のために買おうと思ったのだ(笑)
立派なネックレスだった。
「ハウマッチ?」と聞くと「5000Rs」と言う。
高すぎる!もっと安くしてくれと身振りで表すと"予算は?"と言われた。
「ふーむ・・・1000Rs.」と言うと「1000Rs!?」と驚いた顔をしている。
貧乏旅行者で悪かったな!!
別のネックレスを出してくれ、『これは800Rsだ』と言っていた。
見た目は悪くない。
日本で買えば5000円以上だろう。
これにするかと思って、購入することにする。
そうしたら、『君と私は友達だ。』といきなり手と手を組み合わさって、なにを言っているのか分からないのを話し出した。
聞こえないというのを示すと、すぐ諦めてくれた。
これは俺の勘だが、どうやらこのネックレスを日本に持ち帰って、高く売ってその儲かったお金の一部分を送ってくれと言っているようだった。
この場から去りたかったので、さっさと去ろうとすると「ディナー?」と晩飯を誘っているようだった。
「ソーリー、ショッピング。」と言うと、「オーケ」とすぐ諦めてくれた。

次は友人のお土産だ。
3店まわって、ようやくお土産が買えることができた。
マニ車、ククリ、木彫製品、お菓子などだ。

そこで問題と言えば、ククリだ。
ククリはネパールのグルカ族に伝わるナイフで、その柄や鞘の装飾で持っている人の社会的地位が分かるようになっている。
国の紋章にも入っており、グルカ兵が今でも使っていることで有名。
ネパールダンスでも男性はククリを持って踊るそうだ。
そんなネパール人にとって特別な意味を持つナイフだが、お土産用のものもたくさんある。
作られる場所によって素材も違うので、いろいろな店を回って吟味してから買いたいものだ。
ククリはピンからキリまであり、デザインや刃の硬さによっても値段が変わるそうだ。
高いものだと数千ルピーもするものもあれば、手軽なものだと300ルピーくらいでも手に入る。
特に東ネパールのボージプル周辺で作られるものが有名。

しかし問題は、ナイフなので日本に持って帰れるかどうかである。
ムスタンゲストハウスに戻って、タオルを何枚か巻いてX線にひっかからないように努力した。


1階で突然RJが「ディナー ドウ?」と誘われた。
これは嬉しかったし、即行OKとした。
「19時 ニ 待チ合ワセ」と約束した。
だが、心配だったのはよく本とか書いてあったが、お金は日本人が負担というのが多いのである。
でも、「RJと二人だけだったら、まあ、かまわないか」という気持ちになった。

しかし、それは甘かった。

19時、約束通りRJと待ち合わせとし出発した。
お店はRJのお気に入りとして任せてある。
それなのに、なぜか知らない人もついてくるのである。
「誰?」と言うと、RJは「マイ フレンド。」と言う。

あンたの友人はどうでもいい…
俺にとって知らない人だぞ…と不満をもった。

そして、RJのお気に入り店に入ろうとした。
一つ不安だったのは、豪華なBarだったのだ。
「そんなに金はない!」と言うと、「大丈夫。安イヨ。」と言うRJ。
RJは有名らしく、店の人も親しい関係になっていた。

Barは立派だった。

中に何人かの音楽家が座って演奏をしていた。
歌声はきれいだったが、聞こえない俺にとって退屈だった。


テーブルに座って、ビールを頼んだ。
すると、まだ知らない人が席に座った。
RJの友人と言う。

全員で乾杯!というところは良かったが、その後はRJと二人だけ楽しく会話。
俺だけ沈黙だったのだ。
たまに俺に話し掛けてきたが、『その人いかれているだろう?』と笑いながら頭に人差し指をクルクル回すジェスチャーをするだけである。

3人を無視して、演奏とダンスを眺めていた。

RJが頼んだらしく料理がやってきた。
その料理はネパールの漬物らしく、RJは『ためしにその漬物をタレにつけて食べてごらん』と言う。
言われた通り、漬物をタレにつけて食べてみた。
目に涙があふれた。
めちゃくちゃ辛いのだ。
RJは"ひっかかったぞ"というように笑っていた。

そんな時間が2時間過ぎて、ハオはあくびを連続するようになった。
つまらねぇ…
しびれを切らしたハオは、「眠いから先に戻るよ。いくらだ?」と言う。
「1000Rs」と言うRJ。
「ちょっと待てよ!その二人は君が勝手に呼んだじゃないか!」と反論するが、『頼むよ』というジェスチャーでお願いするRJ。
揉めてもしょうがないから、1000Rs払ってさっさとこの場を去った。
それにしてもむかついた。
RJの招待にのってしまった俺が愚かだった。
英語もろくにできない上に、聴覚障がい者である身では苦だ。

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