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5日目
5時起床。

6時、ロビーのところでRJと待ち合わせをし、ムスタンゲストハウスを出発した。
RJがバス停まで案内してくれたので助かった。
昨日、最後に巡った映画館の近くにバス停があった。
RJは「バス 降リタラ ホテルノ人ガ 迎エニ来テイル」と言っていた。

そして、係員にチケットを見せて乗車した。
バスの中は椅子が壊れていてガタガタと音がしたのでかなりボロい感じだった。
それでもネパール人から見れば中級バスくらいであると地球の歩き方に書いてあった。

7時ピッタシバスは出発した。


街々を抜け、自然が次第に多くなりそして山道になってきた。
自然は豊富で、その景色は心が洗えるぐらいめちゃくちゃきれいだった。

しかし、一つだけ気になったことはあちこち兵隊が多いことであった。
しかも、今にも戦争が起きそうな雰囲気で、機関銃を持った兵隊が座っていたり、 銃を持った兵隊が走っていたりピリピリとした緊迫感があった雰囲気だった。
堀田あきお先生の漫画を思い出し、 「多分、それはネパール反体制のマオと対決するためだろう」と思った。

ポカラまで約6時間位である。



途中で村を通ったり、険しい山道を通ったりの繰り返しだった。
辛かったのは、椅子が壊れていたので腰が痛かったが、 30分ぐらいの休憩も加えていたので非常に助かった。

途中でびっくりしたことが下記のように2つあった。

1.山道を走り中、突然渋滞にあった。
その原因は橋が壊れており、車は遠回りして川を渡っていたからである。
バスが川の上を走るのは初めてであり、大興奮した。

2.どこかの村で川が氾濫しており、水浸し又は道路が川になっていた。
水の勢いが強く、大丈夫かよ…と心配しながら窓から眺めたハオでした。


そこを通り抜けると、大きな橋を渡ってポカラに到着した。
最初は着いたことになにも知らない俺だったが、 バスの運転手が俺のこと聴覚障がい者だということを理解していたので、 「ポカラ。」と教えてくれたので早速、降車の準備をする。


バスを降車すると、すごい客引きが集まってきた。

RJからホテルの人が迎えに来てくれるということを聞いていたが、 あまりにも客引きが多すぎるのでどれか分からない。

おまけについていったとしても、違うホテルに連れ去れてしまう場合もある。
そういうケースを考えて、その客引き全員断ってビューポイントホテルまで自力で行こうと決定する。

しかし、一人のネパール人があまりにもしつこく声をかけられる。
仕方ないから「View point hotel?」と聞いてみると、 「イエス!イエス!」と親指をたてる。
俺の話を聞いていなさそうなのでどうも疑わしい。
その後、名刺が渡され見てみると違うホテルの人だった。
「ノーノー!」と断わって、「一人で行く」と追っ払った。

客引きが消えた。
ほっとして、なにもない寂しい所を一人で歩き続けた。


地球の歩き方に載っている地図を見たところ、 ポカラ飛行場を沿えば着くようになっている。
途中でポカラ飛行場らしき所に着いたので、 近くにいる現地の人に聞いてみる。
若い女性に「ポカラ エアポート?」と聞いてみるが、 微笑んだままで分からなさそうな顔をしていた。
仕方ないから、地図を見せ「ウェア?」と聞いても、それでも分からない顔をしていた。
それ以上聞いても無意味だと思ったので、先を急ぐことにする。

途中でポカラ飛行場のゲートの所に警備員がいたから、 その警備員に地図を見せるとすぐ対応してくれた。
今いる場所は分かったが、View point hotelまではかなり歩くと分かった。

おまけにポカラは車やバイクなどは少なく、 自然が豊富だけでなにもない静かな所だった。

途中、軍隊がいたので道を聞いてみると"あっちにある。"と教えてくれた。
その方向に歩いてみたが、それらしき場所に着かないので、再度現地の人に聞いてみることにする。
すると軍隊の人が教えてもらった方向と一致したので、そのまま歩き続けた。

野生牛が何頭もいた。
そばを通ると突進してくるのではないかと不安だったが、何事もなく安心だった。

途中で小雨が降ってきた。

濡れたまま歩いていると、近くに自転車に乗ったおじさんから声をかけられた。
『どこに行く?』と聞いているようだった。
「ドゥー ユー ノゥ View point hotel?」と聞いてみると、『あっちだよ』と指で指し、『後ろに乗っていきな!』と自転車の後ろに軽く叩いた。
最初は抵抗があったが、そのおじさんは優しそうな目をしていたので「この人なら信じれる」と直感がした。
「サンキュー!」とその好意を受け止め、自転車の後ろに乗った。

500m先におじさんが現地の人に聞いてみると 『違う。向こうだ』と逆方向に指を指していた。
通り過ぎたらしい。

自転車のおじさんは困った顔をしていたが、 俺は「ノープロブレム。サンキュー。」とお礼を言い、自転車で行った道を再び戻ることにした。


途中で子供が寄ってきて「ガイド。」と言っていた。
ホテルまで連れてくれるらしい。
だが、俺は「ノーマネー。オーケー?」と言うと、 子供は困った顔をして去ってしまった。

仕方ないと思っていると、雨が止んできたので丁度良かった。
15分ぐらいでView point hotelをようやく発見できた。

ドアの所でノックしたが、人が出てこない。
何度も声をかけていると後ろから40代ぐらいの杖を持ったおじさんが出てきて『どうしたんだ』と声をかけられた。
「View point hotel?」と指を指すと、頷いていて『そこで泊まるよ』とジェスチャーをすると その杖を持ったおじさんはなにらか声を出し(ネパール語だと思う)、中の人を呼んでくれた。

すぐ出てきた。
おばあさんだったが、歓迎されていないようだった。
むしろ警戒されている。

おかしいと思って、 「マイ ネーム イズ ハオ」ととりあえず自己紹介だけした。
それでもなにも反応を示さないので 「ドー ユー リスン ムスタンゲストハウス?ムスタンゲストハウス カトマンドゥ。」と必死に説明しても、おばあさんは疑問だらけの顔をしていた。
杖を持ったおじさんは状況が分かったらしく、おばあさんとネパール語で話しはじめる。
話が終わった後、杖を持ったおじさんは『聞いていないんだってさ』と言っていることが分かった。

ハオは青褪めた。
「んなバカな!RJは俺を騙したのか?」とパニック状態になった。
おまけに13200円支払っている。
すると杖を持ったおじさんが「アイ ヘルプ ユー。」と言っていた。

そして、杖を持ったおじさんにムスタンゲストハウスに電話をさせてもらうようにお願いした。
杖を持ったおじさんは嫌な顔をせず近くの売店で電話をかけてもらった(電話料はこっちが負担)
なにらかを説明したが、 どうやら相手にしてくれなかったらしくすぐ切れてしまったみたい。
「うわー、やべー」と口にしていると、杖を持ったおじさんは 何度も俺を励ましてくれ「アイ ヘルプ ユー。」と言ってくれた。
気持ちはすごく嬉しかったが、これからどうしようと困っていた。

そのとき一台の自転車が通りかかった。


近くに自転車で通りかかった男から声をかけられ、 杖を持ったおじさんはその男に事情を説明した。

その男は日本語で「これはダメだなぁ」と言っていたことが分かった。

「日本人?」と気がついたハオは「日本人ですか?」と聞いてみる。
すると、「そうですよ」という返事でハオは「助かった!」と叫んでしまった。

出来事をその日本人に説明すると、「多分だまされたんだよ」とストレートに言ってくる。
その一言でショックを受けるハオ。
RJに対して怒りがこもってきた。
「カトマンドゥに戻ったら警察に通報してやる!」という気持ちになった。

そして、その日本人は「僕と同じホテルに泊まりなよ」と親切に言ってきた。
一応、ハオは地球の歩き方に載ってある地図を見せて 「ここがその場所なんだよね?」と聞いてみた。
するとその日本人は 「あっ!違う!そこの場所間違えているよ!別のView point hotelという同名ホテルがあるんだね。」 と言っていた。
なんだ!と誤解が解けたハオはRJに対して憎しみも消えた。

杖を持ったおじさんに『別の場所でした』と伝えると、笑って安心していた。

日本人は「一応お世話になったんだから…お礼とかしたらどう?」と言っていた。
そりゃそうだな。
なにかをあげようかと考えたが、杖を持ったおじさんはタバコは吸わないし、 飲みたい飲み物はないしどうしようかと悩んだ。

すると、杖を持ったおじさんは『なにもいらないよ』と断ってくる。
なんて親切な人なんだとハオはうれしくなった。
一応感謝の気持ちを深く込め、握手をした。

そして、その日本人と一緒に別のView point hotelに向かった。

その間、その日本人と色々話をしていた。
彼は今年の6月ネパールに行って、何ヶ月滞在するか分からないと言う。
「フリーターですか?」と聞くと、「自営業の社長だ」と言う。
「凄いですね!うちの友人も自営業の方もいますが、 彼からも大変だということを聞いております。」 という風な話題が盛り上がった。

徒歩15分ぐらいの距離で、ようやくView point hotelに到着した。



オーナーが出てきて、予約していることを確認してくれた。
そして達者な日本語で色々サポートしてくれるし助かった。

オーナーはゴータマと言う。
日本の文庫にも載っているぐらいかなり著名であるようだ(笑)


助けてくれた日本人に名前を聞けないまま去ってしまった。
今後会える頼みの綱は 「僕はその近くにある日本料理店でたまに顔を出すよ。そこはおいしいよ」 と言ってくれたことだ。

ゴータマから達者な日本語で「部屋マデ 案内スルヨ」と部屋まで連れていってくれた。
部屋は3階にあった。


部屋の中は豪華だった。
とてもこれが200Rsと思えない。


というより不思議だったのは、ドミトリー200Rsで、 シングルは300Rsぐらいなのに、なんでだろうと思った。
もしかしたら今のシーズンは日本人が少ないので、特別にシングルをドミトリー値にしてくれたかもしれない。
ありがとう!ゴータマ!

その部屋はちゃんとお湯が出るし、 窓から眺めた山々は絶景だった。
しかも窓から流れてくる風は新鮮であり、 とても気持ち良いものだった。

お腹もすいていたし、ポカラをまわりたいという 気持ちになったので、シャワーを浴びてから、部屋を出た。
1階にゴータマがいた。
明日のトレッキングのことを聞くと、「朝10時 ココニ 来ルヨウニ」と言っていた。

途中、ボーイらしきの若い青年がいて、こっちを見ると笑っていた。
あとになって気がついたのだが、 この青年がバス停で俺を迎えにいったそうだ。
来ないから心配していたという話。
「あそこの修羅場で迎えというのは難しいですよ!」 と笑って言うと、向こうも笑っていた。


外に出ると、ゴータマは「ドコニ行ク?」と聞かれ、「ランチ。あとは散歩かな?」と言うと「気ヲツケテ」を見送るゴータマ。

近くにポカラで有名であるペワ湖が広がっていることを目にする。
本来はヒマラヤが見えるときに、 ペワ湖でボードを漕ぎながら見るのが一番最高なのだが雨季で残念だ。



昼飯は近くにある日本料理店「Ahil Momo」である。
ホテルを間違え、困っている途中で助けてくれた日本人が紹介してくれた店である。
もしかしたら、その日本人と会えるかもしれないなと思ったからである。

しかし、その日本人はいなかった。
しかも店の中は店員だけで誰もいなかった。

そのお店は日本語の漫画が複数置かれてあった。
席につき、コーラと親子丼を注文した。

店長は感じ良い人だった。
「儲かっていまっか?」と冗談で言うと、 反応して「ボチボチ」と答えてきたのである(笑)
「今ハ トテモ 少ナイ。10月、11月ニ ナレバ 日本人ガ 沢山 来ルヨ」 と説明してくれた。

そして「1.2.3四郎」という漫画を夢中になって読んでいた。

15分後、親子丼が届いた。
食べてみると、これまたおいしかった。
ネパールの日本料理はなんでも合うのである。

何気なく周囲を見回すと、店内に「自転車レンタルできます!」と書いてあるチラシを見かける。
1時間30Rsなので安い。
それに、ポカラ全体を見回りたいと思ったのでお店の人に声をかけると、すぐ準備してくれた。

そして、目的もなくただひたすらこぎまくった。

目の前にトラックが通り、そのトラックについていくとジャングルみたいなところに出てしまう。
ここがどこなのかも分からなかったがとてもスリルがあった。

何度もネパール人から「Hello!」とか「Japanese!」と声をかけられた。

それよりも一番気になったのは、自転車である。
半分壊れかけているし、おまけにペダルをこぐのも重い。

30分ぐらいで疲れてしまったので、Uターンを開始する。


View point hotelまで戻れるかどうか自信はなかった。

一応目印であるペワ湖をやどって進むしかない。
しかし、どんどん見たことない通りに出たりするのでハオは不安な気持ちになってきた。

おまけに暗くなってきた。
街灯が少ないし、ハオのメガネは青色なので更に余計見づらい。
次第に焦ってきた。

そして、いじわるな神はスコールという自然をプレゼントされたのである。
「うわぁ〜」と焦りながらスコール最中に全身濡れても、自転車をひたすらこぐしかなかった。
服装、ズボンなどが濡れてきたので、余計その分重くなってくる。

どうしても道が分からなくなったので、現地の人に道を聞くことにする。

ネパール人に地球の歩き方に乗ってあるポカラの地図を見せ『View point hotelはどこの方面?』というジェスチャーをした。
最初はそのネパール人は分からない顔をしていたが、別のネパール人がやってきて『向こうにpoliceがいるから聞いてみな。』と教えてくれた。

その方向に向かうと、policeらしき人はいなく軍隊はいた。
仕方ないから軍隊に道を聞いてみた。
軍隊は厳しい顔で『あっちだ』と教えてくれたが、そこはなんとさっき聞いた人の正反対方向であった。
ふざけんな!と頭にきながら、さっき来た道に再び戻って反対側に向かった。

スコールもやむ様子もなく、ひどくなってくる。
心配だったのは、補聴器とデジカメである。
水にぬれたらおしまいだ。

5分ぐらいするとゲートらしき所に出て軍隊がいた。
そして、軍隊が雨宿りしていたからその軍隊に道を聞くことにする。
軍隊は分からない顔をしていたが、近くにいる一般市民の子供が近寄ってきてその地図を覗き込む。
なにらかを話しかけられたが、聞こえないことを伝えると諦めた様子だった。

そして、俺は『そこに行きたい。』とView point hotelに指を指す。
少年は通じて、ノートになにらかを書き込んだ。
見ると、ネパール語だった。
そして『あっちの方向に行くとポリスがいる。そのポリスにそのメモを見せなよ』と親切にしてくれた。
そして『スコールがやむまでここにいていいか?』とジェスチャーで表すと通じて、「オーケー」と言ってくれた。

しかし、その方向って最初に聞いた軍隊がいる方向じゃないか…(汗)
2往復するってことになる。

軍隊と少年と一緒に雨宿りしていた。
俺は興味あったので、その少年に「ネパール ウォー?」と聞いてみた。
少年は分からない顔をしていたが、俺は軍隊の方に指を指して銃とかのジェスチャーをすると、少年は通じて「ノー、ポリス」と笑っていた。
マジかよ!軍隊服を着ている警察官!?とカルチャーショックを受けた。

しばらくすると、大型トラックがやってきて、その荷台から何人かの警察官(軍隊?)が降りてきた。
どう見ても、戦争をおっ始める雰囲気やねん…(汗)

30分ぐらいで雨は小降りになってきた。
チャンスだと思ったハオは、その少年と警察官にお礼を言い出発した。

最初に道を聞いたポリスに書いてもらったネパール語のメモを見せると、すぐ通じて『あっちだ』と教えてくれた。
その方向は全く新しい道であり、その道をそのまま進むと…やっと見たことある道に辿り着いた。

そのままAhil Momoに着き、自転車を返した。
主人はいなく、女性と息子がいて女性は『何時出発した?』とノートに書いてくれ、 俺は正直に『15:30』と答えた。
ここまで2時間かかり、全部で60Rsかかった。

しばらくこの店でチャイを注文し、漫画を読んでいた。
近くに息子が勉強していたので、俺は「How old are you?」とノートに書くと、その息子は「13 years old.」と書いてきた。
ハオは思わず「My sister same!」と書くと、笑顔で返す息子。

周囲は暗闇になってきた。
「ここで晩飯を食っておくか・・・」と思って、しょうが定食を注文した。

今日、初めて来たのに、もう店の人と親しくなれた気がした。

この店で笑えたのは誰かの日本人があまり暇なので、木から麻雀牌を作ったものが置いてあったことである。
そして、「麻雀牌あります。使ってください」というチラシで書いてあった。
やりたかったが、当然面子が足りないのでムリである。

しょうが定食は30分後届き、食べてみるとこれもなかなかおいしかった。
なによりみそ汁がうまい。

漫画も全て読み終えた後、そろそろホテルに戻るか…という気持ちになって店を出た。

ホテルに戻るまで大変だった。
なにしろ街灯が全くないので、住宅の明かりを たよりにしながら暗闇の中を歩かないといけなかった。
何度も壊れている道路の水溜りに落ちてしまうぐらい見えないのである。
あとは勘をたよりにしながら歩き、無事ホテルに到着。

中からゴータマが出てきた。
心配していて、今までの事情を説明すると道に迷ったことに対して笑っていた。

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