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1日目
現在の時間は15:30である。
日が沈む前にハオはタイに到着した。

「蒸し暑いなあ。」とハオはタイ空港の入り口を後にした。
手元には空港内のヘルプセンターから書いてもらったカオサンロードの行きのバス停の行き先のメモを握っていた。

「確かここだよな・・・。」とハオの視線には「69番」と書かれてあるバス停。
メモにも「69」と書かれてある。間違いない。

そこのバス停は高速道路の下であり、たくさんの車やバスやバイクなどが行き来していた。
排気ガスがすごい。


咳き込んでいる間に69の数字が書かれてあるバスがすぐやってきた。
ハオはこのバスに乗ろうとした。

すると…

ノー!ノー!!
と係員に止められた。

「???」

そして俺を追い出すように叫ぶ係員。

「あれ?カオサンロード?」と指を下に差して聞いても首を振る係員だった。

「バスを間違えたのかなぁ・・・?」といったん降車する。


15分ぐらい待つと「69」と書かれてあるバスが通ったのでそれに乗り込んだ。
しかし、さっきと同じように「ノー!!」と乗車拒否された。

他のお客さんは乗っている。
終点ってはずはない。

行き先を聞かず、いきなり乗車拒否される係員の態度に頭にきて
カオサンロードだろ!ノープロブレム!?」と叫んだ。
乗員から注目を浴びられる。

ビックリする係員だったが返ってくる答えは「〇〆∞◇△〜」だった。
それがタイ語なのか英語なのか分からないが、耳が聞こえない俺にとっては解読不能だった。
もう一度頭を冷やして冷静に「カオサンロード?」と丁寧に聞くと、係員ははっきり首を振って「ノー」と答えた。


どういうことなんだ…

バスから降りたハオは次第にイライラしてきた。

空港に戻ってヘルプセンターに再度聞きなおすがと思ったが、ちょうど近くに現地の若い男性がいたのでその若者に聞いてみることにする。

「Excuse me.69Number kaosanRord go?」とミニノートに書いて聞いてみると、若者には通じたようだが、カオサンロードの行き方を知らないらしい。
そして、その若者は隣にいたガッチリとした顔つきをした若者に聞いてみた。

しばらく二人は話し合っていてそして、俺になにかを話しかけてきた。
「ソーリー、アイ アム デフ。」と聞こえないということを伝えると意味を理解したようで、ガッチリとした顔つきをした若者が『ついてこい』というようなジェスチャーをしてバスに乗り込む。
ちょっと不安だったがその人がカオサンロードまで案内してくれるようだったので信じてみた。

しかしそのバスは69のナンバーとは別だった
若者の話によると、3回乗り換えないといけないらしい。

「ハウマッチ?」と運賃を聞こうとすると、手を降った。
おごってくれる雰囲気だった。
「サンキュー!」と笑顔で言うと「ユア ウェルカム。」と笑顔で返された。
なんていい若者なんだ。

筆談で少し話をして分かったことは、若者の名前はFluaeと言い、 19歳で空港の警備員をやっていると言う。

するとFluaeは突然上着を抜き出した。
その上着の下には警備員の服装だった。
なんのため抜いたかどうか分からないが、俺を安心させるためだろうか?
ガードマンって感じだったので非常に心強いとは思った(笑〉


一度バスを降車し、別のバスに乗った。
これもFluaeのおごりだった。

タイの道路は本当に混雑していた。
暑い気温にこれだけの排気ガス。
ちょっとハオは頭がグラグラとした。

このバスを降車し、次はオートリキシャに乗ってカオサンロードに到着した。
オートリキシャもおごってもらう雰囲気だったので、ここははっきり断って二人分を出した。

カオサンロードを目の前にFluaeは『僕は飯だけど君も一緒にどう?』というジェスチャーで話しかけられたが、もうすぐ暗くなるし、ゲストハウスを探さないといけない。
申し訳ないが、その気分じゃなかったので「ソーリー、アイ ゴー ホテル。サンキュー。」と断った。
Fluaeは残念そうな顔もせず、「オーケー。」と親指をたて人ゴミの中に消えていった。

白人、東洋人と観光客が多いカオサンロードの中でハオは一応1泊100Bed(300円)のAゲストハウスを探していた。

しかし、Aゲストハウスに行くには細い道があるので、それを探し出すのに苦労した。
カオサンロードを3往復してしまったぐらいだ。
最終的は人に聞いてようやく発見。

ゲストハウスに入ると日本語が話せるタイ人の女性のオーナーが、迎え入れてくれた。
「シングル空いている?」と言うと「空いているよ」と即答。
「その部屋見せてくれる?」と2階の部屋まで案内してくれた。

オーナーは俺の荷物を見て「荷物コレダケ?」と笑っていた。

部屋は一畳の広さでペットと天井に扇風機が置かれているだけだった。
まぁ、寝るだけにはこれでもいいので部屋を借りることにした。


荷物を置き、すぐ1階に降りると東洋人が2人座っていたので声をかける。
「アー ユー ジャパニーズ?」と尋ねると「イエス。」と答えたので、日本語で話しかける。

2人は堀切さんとヒロさんと言った。
ヒロさんはあまり話していないので知らないが、堀切さんはタイランドで留学していると言う。

二人に「明日、早朝空港に行きたいんだが、渋滞の恐れがあるんで、エアポートバスに乗りたいと思うんだが、ここから予約できるかな?」と聞くと、ヒロさんは「エアポートバスは必要ないよ。近くにある旅行会社で申し込めば安いし、高速で行くから、そっちがいいよ。」と教えてくれた。

エアポートバスは100バーツぐらいだが、旅行会社のバスは60バーツだった。

旅行会社の場所を教えて欲しいと言うと、堀切さんが案内してくれることになった。
その旅行会社の受付は日本人だった。
堀切さんが事情を説明すると、6時からは満員で5時からは空いていると言う。
少々早いが、5時からを予約した。

ありがとう!!堀切さん!!


人通りの多いカオサンロードの端っこに複数の屋台が並んでいる。
ハオは紹介してもらった屋台で席につき、タイラーメンとコーラを注文することにする。

「ほんま人多いなあ」とコーラを飲みながらいろんな人が通っているのをボーっと眺めていた。

タイラーメンがなかなか来ないので次第にイライラしてきた頃に
俺と同じテーブルに若い東洋人の一人の女性が『そこ座っていい?』と聞かれた。

俺はうなづき、コーラを飲みながらボーっとしていたときなにかの視線を感じた。
若い女性は俺をジーッと見ていることに気がつく。
ニコニコしながら「ハロー」とつぶやいていた。

思わず「ハロー」と言い返すと「ジャパニーズ?」と聞かれた。
「イエス、ドーユー?」と聞き返すと「アイ アム コリアン。」と返答。

その後、なにか積極性に聞かれたが聞こえない俺にはさっぱり。
「ウェイト・・・」とミニノートを出して「Sorry.I am deaf.」と聞こえないということを説明した。
そのとき、『筆談でもいいから話そう』とジェスチャーで聞かれた。

俺は英語はあまりできないし、英語ができないと会話ができないので迷惑をかけるだろうかと思って
「Sorry.I can't English.」
と書いた。

すると、その女性は俺をジッと見てミニノートになにらかを書き込んだ。
俺は諦めるだろうという気持ちだった。

そしてそのミニノートを渡されてそれを見ると
「But,now,what you write is English.Don't lie!You mean a little.」
(でも、貴方は英語を書いているんじゃない。嘘言わないで!貴方は小心者?)
と書かれていた。

びっくりした。
普通だったら諦める人が多いのに、その女性はそれでも話そうとした。
しかも聞こえなくて英語があまりできない俺に対して構わず話しかけようとする姿勢が大いに気に入った。

そして、俺はその女性にニヤリと笑って、
「オーケー」と話をしようという感じになった。

そのとき、俺の隣に東洋人の男性がドサッと座った。
韓国人の女性は「ハロー、ハロー」と話しかけるが、男性は「……」とあさっての方向を向きながら黙りこんでいる。
「ハロー!!」と負けず嫌いらしきの韓国人は叫んだ。
びっくりした男性は「ハロー…」と挨拶した。

なんとまぁ、気が強い韓国人ですねぇ(笑〉

そのあと、二人でなにかを話しあっていたので、その会話をジッと見ていると
その男性はたまに日本語を使っていたので、「日本人?」と聞くと、「そうだよ。」と言ってきた。
かなりクールな人だった。

それぞれ自己紹介をすることにする。
男性はミゾさんと言って、韓国人は金 昭良(キム ソヤング)と分かった。


驚いたことはミゾさんと俺は近所に住んでいた。
そして俺と同じウェブマスターの仕事をしていると言う。

偶然だなと思ったが、ミゾさんは食後「悪ィ…行くね」と消えてしまった。

お互い食事が終わり、「俺も席を外すか…」と思ったとき、キムはミニノートで「May be we can have some drinks(beer or juice…)If you want.」と"これから一緒に飲まない?"と誘われた。

交流するのもいいなと思って「オーケー」と返答する。

少し歩いたところに小さなバーで、ビールをお互い頼んだ。
日本語で「乾杯!」と言って、ミニノートで筆談を開始した。
時には分からない単語もあったが英和辞書で調べながら、なんとか楽しく話をすすめられた。

色々分かったきた。

キムはフィリピンからタイランドへ渡ったと言う。
ハオもフィリピンに行ったことがあるので、その話題が盛り上がった。
しかし、キムは『フィリピンの食べ物はあまり好きではない』と言っていたので理由を聞くと『フィリピンは肉料理が多い。私はベジタリアン』だということだった。
納得・・・確かにフィリピンは肉料理は多いわな。

そして、映画の話題(「ブラザーフッド」や「シルミド」の話題)、キムは何をやっているのか(中学校の先生を目指している)とか色々話し合った。

しかし、キムは『日本の学生は好きじゃないです』と言う。
その理由を聞くと『日本の学生は悪い人がいるから』と言う。
韓国も悪い人がいるはずなのに・・・よく分からない話だったが、『良い人もいる』と言うとキムは納得したらしく頷いていた。
(ちゃんと通じたのかよ(笑))

気がつくとハオのミニノートには沢山の英語がぎっしりと書かれていた。


何気なく腕時計を見るとあっという間に時間は23時半になっていた。
明日は早いので 『そろそろ寝るか・・・』とお互いは会計を済ませ席を外した。

キムはミニノートに"Happy to see you.Enjoy your journey."と書いてくれた。
なんという嬉しい言葉だ。
思わず俺も「サンキュー!ハブ ア ナイス トラベル!グッナイト。」とお互い握手を交わし別々のゲストハウスに戻る。

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