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9日目
そして、もっちがルピーを日本円に両替してもらっている間に俺は再びトイレに行きたくなった。
再度の下痢であった。
辛すぎる…

両替が終わった後、エアチャイナ航空を探してようやく見つかった後に、もっちの重装備荷物は"航空機に持っていけないので預けてください"と言われ、ハオは待つことに。
預け終わった後に、受付ねーちゃんに聞こえないことを伝えると、空港内を誘導してくれた。
おまけに人々が並んで待っているのに、それでもおかまいなく障害者は先に並ばせてくれたのだ。
皆の視線が痛かった。
空港内だけはバリアフリー設備はされているのね…と思ったハオでした。

出国スタンプをもらって、受付ねーちゃんは"ここで待ってください"と笑顔で去った。

そして、お互い買い損なったお土産を買おうと思って、店に行く。
俺はチャイの原料となるものと、チョコレートお菓子が6本入っているやつを6個買った。
しかし、驚いたのがそれぞれ200Rsすることだった。
チョコレートお菓子1個で、久美子ハウスでは2泊できるのである。
合計で3500円かかった。
とても高くて驚いていたが、もうここでしか買えないので、もっちから借りて買うことにする。
最初はトラベラーズチェックから買おうとするが、店の人が"これは使えない"と言うのである。
もっちは使えたのに、なぜか俺は使えないと言うのである。
面倒になったもっちは日本円で貸してくれた。
これで全員のお土産を買ったのだが、もっちから多額の借金をしてしまった(汗)

購入後、エアチャイナ航空前の受付に入り、3時半まで待った。
それまで俺はずっと寝ていたのである。
もっちと語る気力さえもなかった。

ここも下痢が再発した。
なんか2時間に1回は下痢が出てくるのだ。

4時、ようやく航空機に入れて、4時半に離陸した。
しばらく窓の景色を眺めていた。
あちこち街灯が見える。
インド旅行は最後のほうは体調を壊して最悪だったが、今までの流れを考えてみると、むかつくこともあったが、とても楽しい思い出となったなと思った。

30分後、テレビの画面にバラナシ上空を飛んでいることが分かった。
俺は「久美子さん、義償さんは寝ている時間だなあ。又、久美子ハウスに行くことがあれば、再び会おう!」と心の中で強く思った。

そして、航空機の中で深く寝ていたハオでした。
これで今日一日は20時間は寝ていることになる。

昼の12時半ぐらいに台湾に到着した。
台湾は雨の最中だった。

不思議なことで日本に近づいていく度、少しずつ元気になっていくハオでした。
ここもバリアフリーが進んでいて、皆よりも早く先に入り口ゲートまで連れていってくれた。

ここで30分ぐらい待つと、突然目の前に男が話し掛けてくる。
手話で「Do you deaf?」と言っていた。
その方向に目を向けると、どこかで会ったことがあるな…と思い、次の瞬間に「思い出した!」と声を出す。
男もびっくりして「会ったことがある?」と言い、続けて「僕の名前はイシクロと言うけど…」と言った。
俺は「そうそう!イシクロさん!ほらっ、2年前にHさんの家に遊びに行ったときに会ったでしょう!俺はハオですよ!」と言うと、思い出したように「あのハオかあ!久しぶりだなあ」とお互い握手をする。
イシクロさんは高校時代の大先輩である。
(イシクロさんが卒業後、俺が入校した)
「なんでここにいるんですか?」と言うと、「タイの帰りですよ」と言う。
「又、タイかあ!」と言う位、イシクロさんはタイオタクであり、タイの彼女がいるのである。
タイは計15回ぐらい行ったと言う。

同じ航空機で偶然だなと思って、色々話そうと思ったが、時間になったので、航空機に入らないといけなかった。
イシクロさんの席は別だったので、「あとで会おう」という形になった。

航空機の中でも少し眠るハオで、気がつくと離陸する前だった。
13時半ぐらい、台湾を離陸して日本に向けて出発である。

いよいよ日本だ。

ここまで来て、体調もすっかり治っており(下痢は除いて)、気分もよくなっていた。

17時ぐらい、イシクロさんが席をたって遊びにきてくれた。
興奮気味のイシクロさんにタイについて自慢話を聞かされる(笑)
話を聞くと、タイでアパートを借りたらしい。
警備員、プール付などの高級アパートで月6万の低額で借りたのだ。
「彼女と結婚する気はないですか?」と聞くと「いつかはね」と照れ笑いをするイシクロさん。
色々幸せそうで、良かったと思うハオでした。

話に夢中になっていると、飛行機が斜めになっていることに気がついて、少しずつ高度を落としていった。
イシクロさんとは「あとで向こうで会おう」と約束をして、元の席に戻っていった。

少しずつ日本の大陸が見えてきた。

9日間のインド旅行は短いような長いような気がしたが、本当にあっという間だった。
この9日間、インド旅行は大変な思いをした気がする。
当時のハオは「疲れた!」とか不満をもらしてばかりいたが、2週間が過ぎるととても懐かしく思えてくるのだ。
そして、バラナシだけは再度行きたいなあと思うようになった。
インドはたしかに大変だ。
しかし、その分自分の中で大きく成長させてくれる。
自分では気がつかないかもしれないが、気持ち的が前向きになれた気がした。
そして旅が余計好きになった。
もっちも「タイに行きたい!」と積極性に言うようになったぐらいである(笑)

何人かの出会ったインド人、出会った日本人を思い浮かべながら、日本の地に着陸した。
「日本に着いた…」と全ての旅が終わったと思うように、呟いた。

皆と一緒に航空機を降りて、イシクロさんと待ち合わせをし、入国手続きを済ませた。
途中に診断チェックというのがあり、そこで素直にいくつかの質問に答えた。
体調を崩した、下痢、熱を出したなど・・・
もっちより俺の方が該当箇所が多かった(笑)
もっちはクリアしたが、俺は尿を調べられたのであった。
「結果は3日後、異常があった場合電話をします」という言葉をもらって、もっちとイシクロさんの所に戻った。
少し心配はあったが、「まあ大丈夫だろう!」と気をしきしめた。
(結局、電話もなく、下痢は1週間後おさまった)

そして、それぞれ帰るべきの所に戻っていき、俺も9日ぶりの自宅に戻った。

俺は、玄関のドアを開けてこう言った。
「ただいま」



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