第九話「罰当たり(でも成功した)」
これはかなりの度胸が必要です。
良い子の皆さん。絶対マネをしないでください。
20歳のとき、ハオは職業訓練校に通っていた。
だが、よく「遅刻」と「欠席」を披露していたので、教師から目を光らせていた。
職業訓練校は遅刻1時間ごとにマイナス1、欠席ごとにマイナス8と計算され、それが260超えると一発退学という決まりがあった。
ハオは9月の時点で、すでに254であり、あと一日休むと退学されるのである。
卒業まであと5ヶ月。それまで無遅刻、無欠席でクリアしないといけなかった。
だが、9月上旬ぐらいにハオは過酷の試練を迎えていた。
それは、浮気による失恋を2回連続迎えたのである。
ハオの心はボロボロであった。
生きる気力さえ失せていた。
そのとき、思い浮かんだのが、「放浪の旅がしてぇ」です。
国内ではなく、海外として。
だが、どうしても休めない状況であり、ハオはひどく悩んだ。
友人I氏と相談しても解決の糸は見つからない。
そのとき、ハオはある提案を思い浮かんだ。
確か、職業訓練校では、身内の人が亡くなったら、特別休暇がもらえるのである。
そう。それを利用したのである。
先生に「すいません。九州のいとこのおじさんが亡くなったと知らせを受けたので、4日休みをください。」
と報告をし、4日の特別休暇がもらえた。
そして、ハオは3泊4日と短いですが、フィリピンへ放浪の旅をした。
初めての海外旅行などとても楽しかった。
そのときは日焼けしないようにかなり気をつかったが…w
フィリピンから帰国し、失恋の傷は癒えることができた。
そして、協力してくれたクラスメイトにお土産を渡し、これで終わりかと思った。
だが、これで終わりではなかった。
先生から突然呼ばれて、先生はこう口走ったのである。
「お葬式のなにか証明するものはありませんか?これがないと特別休暇扱いにはなりませんので…」
ハオは気持ち的は真っ青になった。
だが、ここで「えっ!?」と顔をしたら怪しまれるので、冷静に
「証明というものは具体的にどのようなものでしょうか?」と聞いた。
先生は
「お葬式の案内状とかそういうものです。」
ハオは
「あっ、捨ててしまったので、今はありませんが・・・再度、親戚から送ってもらえるように連絡しておきます」
先生は
「分かりました。」
我ながら素早い判断!!
3、4日しばらく時間を稼げたぞ!
問題はお葬式の案内状だ!
「やべぇーよ!」とI氏と相談して、I氏も「やばいな!」と笑っていた。
ハオはこう言った。
「どちらにしても作るしかないな!」
自宅にお葬式の案内状を持っていたので、それを参考に作ることにした。
縦・横の長さ、フォント、カラーなど気を使いながらパソコンのワードで作成した。
何度も印刷して試しながら、作っていくたび本物そっくり作り上げることに成功した。
あとの問題は紙だ。
お葬式の案内状はちょっと分厚い。
そっくりの紙を探さないといけない。
文房具店に行って探すと、デッサン専用のケント紙が見つかった。
厚さも固さもそっくりだ。
これを早速購入して、同じ大きさに切って、印刷した。
できた・・・
我ながら自信作だ!
何人かの人に見せてテストしてもらったが、「本物と変わらないよ!」と言われた。
そして、先生に提出すると、怪しまれることもなく、受け取ってもらった。
ここまで冷汗を大分かきました。
だが、3、4年経つと、これは先生に嘘をついたという後悔に変わっていった。
訓練校に行く機会があったとき、先生に正直白状して、謝った。
先生は最初はビックリしていたが、「こりゃやられたな」と笑っていた。