第四話「定期券詐欺」
タイトル名通り、そう、俺は高校時代のときに定期券を使って詐欺をしました。
良い子の皆さん。絶対マネをしないでください。
その詐欺というのは、「物々交換」を使って、友達の分を無料にしていました。
すなわち、ノートに定期券をはさんで、「あっ渡すのを忘れた」と友達に渡します。
そして、友達がその定期券を使って、改札口を通るわけです。
でも、俺を同じことを考えてやっている人もいることでしょう。
駅に新たな改札口というものが追加されてから、この裏技は使えなくなったのである。
ある日、俺が改札口を通って、友達H氏に「忘れものだ。」とノートを渡す。
そして、俺は駅員に帰ったフリをして、ホームまで歩いて、待つわけです。
でも、H氏が来ない。
おかしいと思った俺は、改札口へごっそりと戻ると、H氏が駅員ともめている。
「どうしたんですか?」と聞くと、
H氏は「この定期券俺のだよな!」と言う。
そして、駅員は俺に「友達ですか?」と聞かれる。
俺は「そうです。」と言うと、「この定期券はあなたのですか?」と聞かれる。
焦った俺だが、ここは冷静に「いえ、違いますよ」と言うと
駅員はこう口走ったのである。
「じゃあ、あなたの定期券か切符を見せてください。」
ばれた…
「あれ?おかしいなあ。無くしたのかなあ?」とごまかすが、
駅員はもうばれているような顔でにらんでいる。
もう逃げられない…
ここは正直「すいません・・・はい、俺のです。」と白状する。
駅員は「ちょっと来なさい!」と駅員室にH氏と連れ去れる。
そして、椅子に座らされ、書類を出して、
「そんなことをしていいと思っているんですか?ダメと分かっているでしょう!!」
「はい…」
「なんでそんなことをしたの?」
「すいません。実は金がなくなったんです。」
(これは事実だった。ゲーセンで使いすぎて金がなくなってしまったのだ)
「金がなくなったからって、そんなことをするのは犯罪ですよ。」
「はい…」
そして、駅員は紙を出して、なにらか計算をはじめた。
「定期券による不正乗車をした場合は、○○駅〜××駅まで定期券の3倍分を頂くことになっていますから、合計6万5000円を頂くことにします。払えますか?」
真っ青になる俺とH氏。
当然、駅員は高校生である俺が支払えるわけないということを知っているので、
「学校名を教えてください。」
と言った。
これだけは言えない!!
言えたら、停学やら退学やらやばいことが待っている。
「これだけは言えません。本当にすいません。もうしません…」
駅員はゆすらず、
「学校名を教えてください!!」
と繰り返して言う。
「どうかお願いします…」
もはや半泣き状態だった。
しばらくした沈黙が流れ、駅員はこう言った。
「分かりました。今回だけは見逃してあげましょう。もう二度とするんじゃありませんよ。」
一瞬駅員が天使のように見えたのはそのときだった。
ただひたすらお詫びを繰り返すだけだった。
だが、問題はH氏は電車賃がないので、どうするかである。
駅員にそのことを聞くと、
「ここの近くに交番があるから、そこで貸してもらえますよ。」
と教えてくれた。
何度も御礼を言い、すぐ交番に向かって、警官に事情を説明して、住所などを書き、電車賃を貸してもらえた。
そして、駅に戻り、切符を買おうとすると、さっきの駅員がやってきて、
「はい、今日は特別です。」
と回数券を渡された。
非常に申し訳なかったが、その言葉に甘えて、回数券を使って帰りました。
次の日、H氏は交番に行き、お金を返して、そして駅員に再度お詫びを言いにいって、解決しました。